2026年08月20日
ウイルスベクター製造と一言でいっても、in vivoで使用されることの多いAAVベクターと、ex vivoで使用されることの多いレンチウイルスベクターでは、製造や品質管理の考え方が大きく異なります。
AAVベクター
AAVベクターは、患者さんの体内に直接投与されるケースが多いため、投与量に応じた高い力価と純度が求められます。製造後には、宿主細胞由来タンパク質・DNA、残留プラスミド、空カプシド、凝集体などを除去しながら、目的とするベクターを効率よく回収する精製工程が重要になります。
レンチウイルスベクター
一方、レンチウイルスベクターは、CAR-T細胞や遺伝子改変幹細胞など、体外で細胞に遺伝子を導入するex vivo用途で多く使用されています。一般にAAVよりも物理的に不安定で、温度、凍結融解、せん断ストレスなどの影響を受けやすいため、活性を維持しながら短時間で製造・精製する工程設計が必要です。

また、両者では主に次の点が異なります。
- ベクターを構成するプラスミドと産生細胞
- 培養条件と生産性
- 回収・濃縮・精製方法
- 保存安定性
- 品質試験と安全性評価
- 必要な製造スケールとコスト構造
したがって、「AAVまたはレンチウイルスを作れる設備があればよい」ということではなく、最終製品の投与方法、必要量、開発段階、品質目標を踏まえて、上流工程から精製・製剤化・品質試験までを設計する必要があります。
研究段階で良好な結果が得られていても、その製造方法をそのまま非臨床試験や治験薬製造へ移行できるとは限りません。早い段階から、将来のスケールアップとGMP製造を見据えた工程設計を行うことが、開発期間と費用を抑えるうえで重要です。
※AAVはin vivo、レンチウイルスはex vivoでの使用が代表的ですが、用途はこれらに限定されるものではありません。
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