
2025年05月20日
遺伝子細胞治療に関する法律が変わります。
2024年6月に改正法が公布され、2025年の5月31日に改正施行令・施行規則ともに施行される見込みです。
この法改正によって従来は、細胞加工に適用されていました【再生医療等安全性確保法】が、細胞を用いないin vivo遺伝子治療に適用されることになっています。
改正の趣旨
昨今の技術革新等を踏まえ、先端的な医療技術の研究及び安全な提供の基盤を整備し、その更なる推進を図るため、再生医療等安全性確保法の対象拡大及び再生医療等の提供基盤の整備、臨床研究法の特定臨床研究等の範囲の見直し等の措置を講ずる。
改正の概要
1.再生医療等安全性確保法の対象拡大及び再生医療等の提供基盤の整備【再生医療等安全性確保法】
①細胞加工物を用いない遺伝子治療(※1)等は、現在対象となっている細胞加工物(※2を用いる再生医療等と同様に感染症の伝播等のリスクがあるため、対象に追加して提供基準の遵守等を義務付けることで、迅速かつ安全な提供及び普及の促進を図る。
※1 細胞加工物を用いない遺伝子治療:人の疾病の治療を目的として、人の体内で遺伝子の導入や改変を行うこと。
※2 細胞加工物:人又は動物の細胞に培養等の加工を行ったもの。
②再生医療等の提供計画を審査する厚生労働大臣の認定を受けた委員会(認定再生医療等委員会)の設置者に関する立入検査や欠格事由の規定を整備することにより、審査の公正な実施を確保し、再生医療等の提供基盤を整備する。
2.臨床研究法の特定臨床研究等の範囲の見直し等【臨床研究法、再生医療等安全性確保法】
①医薬品等の適応外使用(※3)について、薬事承認済みの用法等による場合とリスクが同程度以下の場合には臨床研究法の特定臨床研究及び再生医療等安全性確保法の再生医療等から除外することにより、研究等の円滑な実施を推進する。
※3薬事承認された医薬品等を承認された用法等と異なる用法等で使用すること(がんや小児領域の研究に多い。)
②通常の医療の提供として使用された医薬品等の有効性等について研究する目的で、研究対象者に著しい負担を与える検査等を行う場合は、その研究について、臨床研究法の対象となる旨を明確化することにより、研究対象者の適切な保護を図る。
細胞加工物を用いない遺伝子治療等に対する再生医療等安全性確保法の適用
- 現行法(改正前)は、細胞加工物(※1)を用いる医療を法の対象としており、遺伝子治療のうち細胞加工物を用いない遺伝子治療(in vivo遺伝子治療)(※2)は法の対象外。
※1細胞加工物:人又は動物の細胞に培養等の加工を行ったもの
※2細胞加工物を用いない遺伝子治療:人の疾病の治療を目的として、人の体内で遺伝子の導入や改変を行うこと
- in vivo遺伝子治療についても、細胞加工物を用いる医療と同じく感染症の伝播やがん化等のリスクがあるため、法の適用対象に追加して提供基準の遵守、提供計画の提出、当該医療を受ける者への説明及び同意の取得等を義務付けることになりました。
この法律の改正によって、in vivoでの使用を目的とした医療用(臨床研究、臨床治験等)にプラスミドベクターやウイルスベクター等を供給する施設につきましても提供許可を受ける必要が出て参りました。
当社メディリッジは、臨床研究等でプラスミドを使用される場合、施設の環境やGMP関連書類、生物学的原料基準への対応などを従来から実施しておりますが、今回の法改正を踏まえて「特定細胞等加工施設」として当社の許可を得るべく準備を進めています。