抗体医薬品の生産用MCB製造はここが違う

2024年05月07日

皆様、2024年のゴールデンウイークはどう過ごされましたか?

コロナ後の最初のゴールデンウイークとあって、どこもかしこも混雑だったようですね。

私は、ゆったりと映画鑑賞や近くの美術館巡りと時々少しだけお仕事をして過ごしました。

 

メディリッジ株式会社では、cGMPモノクローナル抗体の製造(抗体医薬品)を実施していますが、今回は、モノクローナル抗体産生のCHO細胞の安定発現株の作製とMCB構築についてお話をしたいと思います。

下は、抗体遺伝子の取得から抗体のヒト化、安定発現株樹立~モノクローナル抗体製造までの流れのお馴染みの図です。

メディリッジでは、GMP製造からのCDMO業務を台湾のEirGenix社と業務提携をしていますが、安定発現株樹立やMCB製造の費用は、R&D専門の受託会社よりも高額なのでいったいどこが違うのだろうと考えていましたが、数回、安定発現株樹立からMCB製造(GMP)を実施してこの違いを実感しています。

上の図では、ハイブリドーマ細胞から抗体遺伝子を取得して抗体のヒト化をするプロセスを書いていますが、最近では遺伝子配列情報を頂くことが多くなっています。

また、上記では抗体医薬品製造工程の一段階としてサラッと安定発現株樹立と書いてありますが、バイオ医薬品製造用の安定発現株の樹立には、高発現株取得のノウハウが詰まっています。

言うまでもなく、この段階で、高発現で且つ長い継代数でも生産性の高いクローンを樹立することは、後々の抗体医薬品の製造のコストを削減するために重要です。

 

GMP Bankedの細胞株を使用する

GMP Bankedの細胞株を使用する理由は、「細胞株に必要な試験が実施済だから」だけではありません。例えばCHO細胞では、それぞれの供給会社が安定的に高発現になる株を生産用にセレクションしたり、浮遊系にアダプテーションしてあったりと工夫されています。

つまりは、生産用に特別に作られた細胞株ということになります。

市販の細胞株としては、サーモフィッシャー社のCHO-SCHODG44)などが良く使われています。これらのcGMP Bankedの細胞を購入して安定発現株を樹立し、それを用いて抗体医薬品を製造する場合には、マーケットの大きさなどの条件によって販売元に対してライセンス料の支払いが必要になります。

メディリッジの提携するCDMOEirGenix社では、GMP BankedCHO-K1株を保有しており、これまでの実績では生産性はかなり良好です。また、抗体医薬品の製造をご依頼頂ける限りはライセンス料が不要です。

 

RCBの段階で高生産株を複数セレクションする

せっかくMCB用にセレクションした細胞が「小スケール培養では高生産株だったが、スケールアップすると生産性が低い」ということを避けるためにRCBの段階で選んだ複数のクローンを50継代以上して生産性を確認します。

このような工程を経て、最終的に「生産性が高く、安定性が高い」クローンのセレクションを実施してMCB製造用に1クローンを選び、特性解析試験を経て、それぞれの抗体医薬品製造用のGMP MCB200本以上)を作製します。

メディリッジが提携しているEirGenix社では、下記のような特徴を持ちます。

EG独自のGMP BankedCHO-K1細胞とベクターのライセンスが無料!!

EGの保有する高発現株の最新のセレクションシステムにより、通常10~12ヶ月必要な作業が45ヶ月に短縮されます。

 

抗体医薬品製造を視野に入れている研究者の皆様、企業の皆様は、是非、本GMP MCB製造をご検討頂きますよう宜しくお願いします。